ドクター紹介&ブログ

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横浜院院長 柴田 貴志

横浜院院長 柴田 貴志 ドクター

花粉症について

2018年04月07日

 花粉症シーズンに入り、当院でも花粉症治療をご希望される方が増えています。

 

 花粉症などのアレルギーは、異物(自分のものではない物質)に対する人体の防御反応の一種です。

 

 人体はとても賢く、一度異物として認識したものを記憶します。

 

 記憶した異物が再度体内に侵入すると、異物を退治するために様々な対応を取ります。これらの症状が一般的に花粉症と呼ばれるものです。

 

 ここから詳しく花粉症について解説していきます。かなり長くなりますので、飽きたらそっとページを閉じてください。

 

 

なぜアレルギーが起こるのか?

 アレルギーなんて百害あって一利なし、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そもそもなぜアレルギーは起こるのでしょう。実はアレルギーは体を守る大切な機能の結果なのです。

 

 人間の体は常に様々な細菌やウイルス、毒素などにさらされています。そのままではすぐに体がやられてしまうため、体は様々な防御機能を持っておりその1つが免疫です。

 

 免疫は体に侵入した異物を攻撃する機能ですが、主に白血球が担っており2つに分けられます。

 

 体中を徘徊し目についた異物を攻撃する、白血球の本能的な免疫は自然免疫と呼ばれます。

 

 これに対して、以前体内に入ってきた異物を記憶し、効率的に攻撃する免疫は獲得免疫と呼ばれます。

 

 この記憶した異物に対する獲得免疫の中で、過敏になりすぎ症状が起こるものがアレルギーです。

 

 

 

花粉症の発症機序

 アレルギーは英語でallergyですが、語源は1906年に小児科のC・P・ピルケが注射で起きた異常反応に対してallos(他の)+ergon(働き)から命名したそうです。

参照 http://yuraika.com/allergy/

 

 ではアレルギーはなぜ発症するのでしょうか。

 

 

 アレルギーの原因物質である抗原、花粉症であれば花粉が体内へ侵入します。

 

 

 体内へ侵入した抗原はマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞へ取り込まれ分解されます。

 

 

 分解された抗原の一部はヘルパーT細胞と呼ばれる白血球に抗原提示(取り込んだ抗原の情報を伝達)されます。

 

 

 抗原提示を受けたヘルパーT細胞はサイトカインと呼ばれる物質を介して白血球の一種であるB細胞へ抗原の情報を伝えます。

 

 

 抗原の情報を受け取ったB細胞は、その抗原に対応する型のIgE抗体を作成します。

 

 

 作成されたIgE抗体は粘膜や皮膚に多く分布する肥満細胞へ血中を通して届けられます。しかし、ただ受け取っただけでは肥満細胞は動きません。

 

 

 肥満細胞はある程度IgE抗体が来るまでは特に反応しません。そして抗原が侵入するたびIgE抗体が産生されます。

 

 

 ある量までIgE抗体が肥満細胞へ到達すると、ようやく肥満細胞が働き出します。

 この量は人によって異なるため、同じ地域に住んでいても花粉症になる人もいればならない人もいます。

 また、ある量までは肥満細胞は働かないため、今まで花粉症ではなかったのに急に花粉症になるということが起こるのです。

 

 

 働き出した肥満細胞は感作と呼ばれる状態となります。感作された肥満細胞は、抗原が体内へ侵入するのを待ちます。

 

 

 しかしなんでもかんでも反応するわけではなく、あくまでB細胞から受け取ったIgE抗体に基づいて原因となる抗原だけにしか反応しません。

 そのため、卵アレルギーや小麦アレルギーなど異なるアレルギーが起こります。

 

 

 特定の抗原が侵入した場合、粘膜や皮膚で待機していた肥満細胞が反応します。

 

 

 反応した肥満細胞はヒスタミンやロイコトリエンといったケミカルメディエーターと呼ばれる物質を放出し、アレルギー症状が引き起こされます。

 

 

 花粉がなくなっても花粉に対する情報はB細胞内に記憶され、再度花粉が体内へ侵入するとすぐにIgE抗体が産生され再度花粉症の症状が出現します。

 この記憶が残すシステムがあるため、一度花粉症が発症すると毎シーズン症状が現れるのです。

 

 

 用語説明

花粉症:1型アレルギー(即時型アレルギー)の一種。杉やヒノキなどの花粉に対して起こります。花粉を吸い込むと数分でくしゃみ、鼻閉、鼻水、目のかゆみ、流涙など目や鼻の粘膜の症状が起こることが特徴的です。

 

抗原:花粉や食物など、アレルギーを引き起こす原因物質、アレルゲンとも呼ばれます。

 

IgE抗体:B細胞(形質細胞)から産生される物質で、それぞれの抗原につき特定のIgE抗体が存在します。抗原に直接取り付いて中和したり分解を促進するほか、肥満細胞に結合しアレルギー反応を起こします。

 

感作:抗原に対する特異なIgE抗体が肥満細胞に結合した状態で、アレルギー反応が起こる準備段階です。感作した肥満細胞に抗原が接触することで、アレルギー反応が起こります。花粉症の方は、抗原である花粉がなくなってもすでに感作された肥満細胞が粘膜に存在するため、翌年も花粉が飛散することで同様の症状が起こってしまいます。

 

ヒスタミン:血圧降下、血管透過性亢進、平滑筋収縮、血管拡張、腺分泌促進などの薬理作用があり、アレルギー反応や炎症の発現に介在物質として働く。ヒスタミンが過剰に分泌されると、ヒスタミン1型受容体(H1受容体)というタンパク質と結合して、アレルギー疾患の原因となります。ちなみH1受容体は脳にも存在するため、抗ヒスタミン剤を摂取すると、脳にも作用して眠気などが起こります。

 

ロイコトリエン:気管支喘息やアレルギーの反応、炎症反応の維持に関与しています。好中球に走化性を与えることで、炎症組織に必要な細胞を招集することに加え、強力な気管支収縮、血管拡張効果があります。

 

白血球:免疫を司る血液中に存在する細胞。以下のように様々な種類があります。

 

 樹状細胞:抗原を取り込みT細胞へ抗原提示をします。

 

 マクロファージ:体外から侵入した異物を貪食します。また、抗原を取り込みヘルパーT細胞へ抗原提示をします。

 

 T細胞:ヘルパーT細胞、キラーT細胞など様々な種類があり、直接ウイルスなどを攻撃したり、他の細胞を活性化させたりして免疫を司どっています。

 

 B細胞:T細胞から抗原の情報を受け取ると、その抗原に対応したIgE抗体を産生する形質細胞になります。抗原の情報を記憶し、再度抗原が侵入した際、素早くIgE抗体を産生します。

 

 肥満細胞:マスト細胞とも呼ばれます。IgE抗体を受け取ると、感作と呼ばれる待機状態となります。感作された肥満細胞に特定の抗原が接触すると、ヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターと呼ばれる物質が産生され花粉症などのアレルギー症状が起こります。

 

 

 

 

なぜわざわざ記憶するのか?

 常に白血球を全身に大量に配備するには白血球にも寿命もあるため、大量に作り続けるのはコストがかかりますし、無駄が多すぎます。

 

 そこで効率的に白血球で異物を排除するために獲得免疫が役に立ちます。

 

白血球=警察官

体=町

異物=犯人 とします。

 

 常に警察官が町中をくまなく警備するのは無駄が多くコストがかかりすぎます。

 

 そこで町の安全のために現行犯(記憶されていない異物)がいないかパトロールする警察官が少数配備され、現行犯を見つけると逮捕します。これが自然免疫です。

 

 指名手配犯(記憶された異物)が見つかったと通報(ケミカルメディエーター)があると、そこにたくさんの警察官が集まり犯人を捕まえます。これが獲得免疫です。

 

 このように効率的に警察官を配備、動員するために異物を記憶し対応するのです。

 

 身近な獲得免疫の例としては”病気に抗体がある”といわれる状態です。一度おたふくかぜにかかると2回目はかかりにくいといわれるのは獲得免疫のおかげです。

 

 また、獲得免疫を人為的に作るのがワクチンです。

 

 抗体というのは先ほど出てきたIgE抗体などを指し、様々な異物に対してそれに対応する抗体が存在し、それを検査で調べることで感染症にかかったことがあるかやアレルギーの有無を調べることができます。

 

 

 

なぜ花粉症の症状が起こるのか

 アレルギーは体の防御反応という話をしてきましたが、では花粉症の症状はどう役に立っているのでしょう。

 

 花粉症の3大症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりです。

 

 全て粘膜の症状ですが、これは先ほどの図で出てきたアレルギー反応を起こす肥満細胞が外気と触れ異物が侵入する入り口である皮膚や粘膜に多いからです。

 

 症状はどれも肥満細胞から出るケミカルメディエーターのロイコトリエンやヒスタミンで起こる症状ですが、ちゃんと意味があります。

 

 くしゃみや鼻水は鼻に入ってきた異物(花粉)を体外へ押し出すためです。

 

 鼻詰まりは粘膜の腫れや充血が原因ですが、これは白血球を集めるために血流や血管透過性(血管から組織への扉を広くする)が増加することで起こります。

 

 このように体から異物を守る反応ですが、問題となるのは花粉自体に害がないのに不必要に強く症状が出てしまうからです。

 

 体は異物というのは認識できても、それがどの程度体に害を与えるのかは判断できないため、特に異物が大量に入る花粉症では強く免疫反応が起きてしまいます。

 

 

 

花粉症の薬

 花粉症に対する薬は様々なものが出ています。それぞれ薬の効き方は異なります。

 

 

ケミカルメディエーター遊離抑制薬(インタール、リザベン、ケタス、アレギサールなど)

 肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンといったケミカルメディエーターが放出されるのを防ぎます。

 

 

ケミカルメディエーター受容体拮抗薬

 ケミカルメディエーターは受容体と呼ばれる受け口にはまり込むことで効果を発揮します。この受容体にはまり込むのを抑える薬です。

 この薬はブロックするケミカルメディエーターにより効果が異なり、それぞれに特徴があります。

 

ヒスタミン受容体拮抗薬
 第一世代薬(レスタミンコーワ、ポララミン、ペリアクチンなど)
昔からある薬で安全性が高く、効果が素早く出ますが副作用の眠気も強いです。

 

第二世代薬(ザジテン、アレグラ、アレジオン、アレロック、ザイザル、タリオン、クラリチンなど)

 第一世代と比較し眠気が改善されています。近年はこの薬が主流となっています。最近新たに承認されたデザレックス、ビラノアは眠気が特に少ないようです。

 

ロイコトリエン受容体拮抗薬(オノン、シングレア、キプレス)
 ヒスタミン受容体拮抗薬よりも鼻づまりに効果が高いようです。

 

その他受容体拮抗薬(ブロニカ、バイナス)

 鼻づまりに高い効果を示しますが、症状が出る前からの内服が推奨されています。

 

 

ステロイド内服薬(プレドニンなど)

 体の免疫系を抑制することで症状を抑えます。効果はかなり強いですが、月経の遅れや糖尿病、骨粗鬆症など副作用も多くあり長期間の内服は推奨されません。

 

 

鼻噴霧ステロイド薬(リノコート、ナゾネックス、アラミストなど)

 粘膜表面だけに効果をもたらします。よって内服や注射のステロイドで起こりやすい副作用がほとんど少ないです。

 

 

点鼻血管収縮薬(プリビナ、トラマゾリン)

 鼻づまりに効果が高く、即効性が期待できます。しかし、連続使用により効果が徐々に低下し、かえって鼻づまりがひどくなるなどの副作用があります。

 

 

ステロイド注射(ケナコルト)

 体の免疫系を抑制することで症状を抑えます。1回の注射で1か月ほど効果がありかなり強いですが、月経の遅れや糖尿病、骨粗鬆症、注入部の脂肪萎縮など副作用も多くあるため短期間での連投は推奨されません。

 

 

ノイロトロピン注射

 ワクシニアウイルスを接種したウサギの炎症皮膚組織から抽出したエキスから生成される薬品です。

 アレルゲンである花粉に対する反応を抑える効果もあるため、花粉症の症状が現れる前に開始することで花粉症シーズンの症状を緩和することが できます。

 

 

ヒスタグロビン注射

 非特異的減感作療法(全てのアレルギーに効く)と呼ばれ、抗ヒスタミン剤などと異なりアレルゲンである花粉に対する反応を抑える効果があるため、花粉症の症状が現れる前に開始することで花粉症シーズンの症状を緩和することができます。

 好酸球浸潤抑制、ヒスタミン遊離抑制、ヒスタミン防御能向上により花粉症の症状を軽減します。

 1週間に1~2回1バイアルを皮下注射、3週で1クールが必要となります。

 ただし、月経の症状を重くするため月経直前、月経中は接種することが出来ないので女性には少しハードルが高くなります。

 

 他にも抗原の花粉を注射、もしくは舌下投与を繰り返し、花粉自体に体を慣れさせる減感作療法などの治療法もあります。

 

 減感作療法は治療期間が年単位となるデメリットはあるものの、現時点では花粉症を完治させる可能性がある唯一の治療です。

 

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